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ゼロエネルギー住宅は本当にゼロエネルギーなのか

2023/12/21(木) 家づくりのことその他

ゼロエネルギー住宅とは?

ゼロエネルギー住宅とは、家庭で使用するエネルギーを太陽光発電などの再生可能エネルギーでまかなえる住宅のことです。
つまり、年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロ以下になる住宅です。

一次エネルギーとは、石油や天然ガス、太陽光や風力などの再生可能エネルギーなど、エネルギー源となるものを指します。

ゼロエネルギー住宅は、主に以下の2つの技術によって実現されます。

  1. 省エネ技術

住宅の断熱性能や気密性能を高めたり、高効率な設備機器を導入したりすることでエネルギー消費量を抑える技術です。
外壁や窓の断熱性能を高めることで冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるようになるため、冷暖房のエネルギー消費量を抑えることができます。
また、高効率なエアコンや給湯機を導入することで、さらに消費電力を減らすことができます。

  1. 創エネ技術

創エネ技術とは、太陽光発電や風力発電などでエネルギーを生み出す技術です。
一般住宅では、太陽光発電システムを設置することで太陽光から電気をつくり、自宅で使用したり売電することができます。

ゼロエネルギー住宅は光熱費を大幅に削減することができる上、環境負荷を低減する役割も果たします。

 

本当にゼロエネルギー?

ゼロエネルギーと聞くと全くエネルギーを使わないという風に捉えてしまうかもしれませんが、そういう訳ではありません。
家庭で使うエネルギーよりも発電するエネルギーの方が多いということです。

消費エネルギー < 創出エネルギー

そこで気になるのが、本当にゼロエネルギーになるのかということ。

私達もお客様に説明させていただく際にシミュレーションデータをお見せすることがあります。
毎月の消費エネルギーや発電量などをシミュレートして、「これだけ光熱費が削減できる予測です」とご説明するわけですね。

でも、これはあくまでシミュレーション。
家庭により電力の使い方は違いますし、天候によって発電量も変化するわけですから、シミュレーションの数値通りとはいきません。
なので本当にこんなに削減できるのかと疑ってしまう気持ちもわかります。

 

実際のご家庭のデータ

では、私達が家を建てさせていただいたお客様の実際のデータを見てみましょう。
下記はあるご家庭の1年間(2022年)の購入電力量・発電電力量・売電電力量の実際のデータを表にしたものです。


2階建て(約40坪)
太陽光発電システム容量:12.82 kW
家族人数:3人

まずは購入電力量から見てみましょう。
太陽の出ている昼間は発電した電力を使用できるので、主に発電できない夜間や悪天候の日に使用した電力ということになります。
やはり夜が長く、暖房を使う冬の購入量が多くなっていますね。年間の購入量は4,017kWhです。

次に発電量です。
真夏の7月や8月の発電量が一番多くなると思われがちですが、実は5月や6月の発電量の方が多いのです。
発電時間を考えると昼間の時間が一番長い夏至がある6月の発電量が一番多くなりそうですが、梅雨の季節ということもあって一番ではないようです。
真夏の発電量が少し下がっているのは、発電パネルの表面温度が高くなりすぎると発電効率が下がるからでしょう。
年間の発電量は、事前に行ったシミュレーション予測の15,044kWhよりもかなり多い17,320kWhでした。

売電量が13,695kWhなので、単純計算として発電量との差3,625kWhが発電している時間帯に使用した電力ということになります。
購入電力量と合わせた7,643kWhが年間の消費電力ということですね。

このご家庭の場合、消費電力よりも発電電力の方が倍以上多いという結果です。
ちゃんとゼロエネルギー住宅でした。

 

他にもZEH仕様で建てさせていただいた家のデータを何件か確認してみました。
太陽光発電システムの発電容量が8kWhぐらいで、昼間も常に誰かが家にいるご家庭の場合はギリギリ発電量が消費量を上回っているというデータも見受けられました。
余剰電力が少ないので、売電できる電力量も少ないということですね。
しかし、売電金額よりも購入電力料金の方が単価が高いので、発電した電力はできるだけ自家消費した方がお得です。

新築の際に太陽光発電システムを導入するのであれば、コストを抑えてお得に設置できるサービスもあります。
当社では8割以上のお客様が太陽光発電システムを採用されています。
光熱費が抑えられるだけじゃなく、より快適な住空間のゼロエネルギー住宅をお勧めしています。

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